既婚者マッチングは違法?
慰謝料が問題になる境界線と法的リスク
アプリに登録すること自体と、そこで何をするかは別の問題です。ここを混ぜて考えると、必要以上に不安になるか、逆に本当にリスクのある一線を見落とすかのどちらかになります。切り分けて整理します。
目次
登録すること自体は違法なのか
法律の一般的な考え方を整理したものです。実際の判断は個別の事情や証拠によって大きく変わります。具体的なトラブルを抱えている場合は、弁護士など専門家にご相談ください。
結論から言うと、既婚者がマッチングサービスに登録すること自体を禁じる法律はありません。刑事罰の対象にもなりません。かつて存在した姦通罪は1947年に廃止されており、現在の日本に「不倫そのものを罰する刑法上の規定」は存在しません。
では何が問題になるのかというと、民事上の損害賠償責任です。つまり警察や刑務所の話ではなく、配偶者から慰謝料を請求されるかどうかという話になります。ここが最初の分かれ目です。
刑事の話ではない——利用や交際そのもので逮捕・起訴されることはない
民事の話である——配偶者が精神的苦痛を受けたとして賠償を求めるかどうかの問題
規約の話も別にある——法律とは関係なく、サービスの利用規約に違反すれば強制退会になることがある
3つ目は見落としがちです。一般的なマッチングアプリの多くは規約で独身者に利用を限定しており、既婚者が登録すると規約違反になります。これは違法ではありませんが、アカウント停止の理由にはなります。
慰謝料が問題になるのは「不貞行為」があったとき
民事で慰謝料が認められる典型は不貞行為があった場合です。一般的には配偶者以外との性的関係を指すものとして扱われています。逆に言えば、食事や会話をしただけで直ちに不貞行為と評価されるわけではない、というのが基本的な整理です。
ただし「これなら絶対に大丈夫」という線が引かれているわけではありません。関係の継続期間、頻度、やり取りの内容、家庭への影響といった事情を総合して判断されるため、下の表もあくまで傾向として読んでください。
注意したいのは、本人がどう位置づけているかは基準にならないという点です。「恋愛ではなく心の支えのつもりだった」という説明は、配偶者から見た受け止め方や実際の行動の記録とは別物として扱われます。
不倫との違いを言葉として整理したい場合は、婚外恋愛とは?不倫との違いも合わせて読んでみてください。
金額はどう決まるのか
「相場はいくらか」を知りたくなるところですが、実際には決まった定価があるわけではなく、事情の積み重ねで上下します。数十万円で収まることもあれば、数百万円になることもあります。
金額を左右する要素としてよく挙げられるのは次のようなものです。
- 婚姻期間の長さ——長いほど高くなる傾向
- 未成年の子どもがいるかどうか
- 関係の期間と回数——単発か、長期間続いていたか
- 夫婦関係が実際に壊れたか——離婚に至ったか、修復したか
- どちらが主導したか——強く誘った側の責任は重く見られやすい
- 相手が既婚者だと知っていたかどうか
最後の項目は、既婚者向けサービスを使う場合に特に効いてきます。お互いが既婚者だと最初から分かっている前提のサービスでは、「知らなかった」という主張は成り立ちません。匿名性が高いことと、法的な責任が軽くなることはまったく別の話です。
また、慰謝料は本人と相手の両方に請求できるとされており、片方が全額を払えばもう片方への請求はその分減る、という関係で整理されるのが一般的です。
請求される相手は1人とは限らない
見落とされやすいのがここです。相手も既婚者の場合、自分の配偶者からだけでなく、相手の配偶者からも請求される可能性があります。つまりリスクは片方向ではありません。
自分の配偶者から——自分が請求される側になる
相手の配偶者から——「夫(妻)の関係相手」として自分が請求される側になる
双方が既婚でも相殺されない——お互い様だから帳消し、という扱いにはならない
「お互い既婚だから問題にならない」という理解は誤りです。それぞれの家庭が別々に存在している以上、責任も別々に発生します。双方既婚のほうが、関係が表面化したときの影響範囲はむしろ広くなります。
家庭に知られたときに何が起きるかについては、バレたらどうなるかの記事で具体的に整理しています。
始める前に、自分で線引きを決めておく
ここまでを踏まえると、対策として現実的なのは「バレない方法を探すこと」ではなく「問題になる行動をそもそも取らないこと」です。前者は運任せですが、後者は自分でコントロールできます。
登録する前に、次の3つを言葉にしておくと迷いが減ります。
- 体の関係を持つのかどうかを先に決める——ここが慰謝料の分かれ目になりやすい。曖昧にしたまま会うと流れで決まってしまう
- 相手の家庭に踏み込まない——相手の配偶者や子どもの話に立ち入らない。関係を壊す方向に働きかけない
- 連絡の頻度と時間帯を決める——生活のリズムを崩すほどの連絡は、家庭側に気づかれる直接の原因になる
1つ目を先に決めておくのが特に重要です。会ってから考えると、その場の空気で決まってしまいます。心のつながりを求めているのか、それ以上を求めているのかは、相手に伝える前に自分の中で決着させておくべきことです。
関係の形として何がありうるかは、プラトニックな関係とは?とセカンドパートナーとは?で整理しています。
やり取りは記録として残るという前提で
もうひとつ現実的な話をしておきます。慰謝料が争われる場面で実際に効いてくるのは、証言よりも残っている記録です。メッセージ、写真、位置情報、決済履歴などが該当します。
これは「消し方を工夫しよう」という話ではありません。後から読み返されても説明できる内容だけをやり取りするという前提を持っておくほうが、結果的に自分を守ります。書いた本人の意図と、第三者が読んだときの印象は一致しないからです。
サービス選びの観点でも、匿名性の設計は確認しておく価値があります。本名や連絡先を早い段階で渡さずに済む仕組みがあるかどうかで、記録が外に出る経路の数が変わります。この観点は身バレ対策の記事で扱っています。
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